マイ・フェイバリット(2015年求人情報「仕事百貨」より)
- honoka15
- 2015年8月1日
- 読了時間: 8分
更新日:3月11日
(2015/8/25 神吉弘邦)

エントランスを入ると、家具やデザイン雑貨の元気なカラーが飛び込んできた。店頭に並んでいる製品はデザインされた国もメーカーも違うのに、バラバラな感じがしない。
1997年にセンプレを創業したのが、社長の田村昌紀さん。それまでは家具やプロダクト、店舗や住宅にいたるまでをデザインする側だった。

「当時はいろんなデザインを海外から輸入し、提案していく店が少なかったんです。自分たちで小売業をやらないと『良いデザインが流通していかない』という思いがありました」
目標に掲げるのは、編集型のライフスタイルショップ。
「たとえば、このグレーという色。ブラウンとあわせた場合、ブルーとあわせた場合では、同じ色でも見え方が違います。色以外でも、食器ひとつとっても、あうものとあわないものがある。そういうバランスをとりながら提案していくことを心がけています」

「自分たちで納得できるものを、ていねいにコツコツお客様に伝えていく。それにはやっぱり製品のデザインを好きになり、自分たちが納得できる『好きなデザイン』を伝えていく必要があります」
そうは言っても、人の好みは千差万別だ。
これがいいです!とだけ押しつけるのではなく、バランスをとって提案していくのが大事になる。
「お店に入ってきたとき、すぐに感じとれるバランス感を大切にしています。自分のくらし、気持ち良さの波長があうから、お店を好きになっていただくという関係がとても重要なんです」
お客様に「自分自身の心地よいくらしを提案している店」と認識されれば、付きあいが長くなっていく。その結果、良いデザインの製品も売れる。
商品を流通させることで、クリエイティブなエネルギーを継続させたい。デザイナーだった田村さんがセンプレ創業をした思いはここにある。
会社を始めようと考えるきっかけになった家具を教えてもらった。
それは、1933年にフィンランド人の巨匠デザイナー、アルヴァ・アアルトがデザインした「スツール 60」。シンプルな構成で有名な椅子。

「フィンランドという国は、ロシアとスウェーデンに挟まれた小国です。資源がなくて、広大な森には白樺だけが生えている。この国を維持するためには、白樺を使って世界に輸出する産業を起こさなくては、とアアルトがこの椅子をデザインしたんですね」
解説にも熱がこもる。
「つくり方から形まで、80年間まったく変わってないんです。成形合板なんてなかった段階でこの技術を考え、木を曲げるというのは画期的なこと。構造をつくらなくても、ネジを3本つけることによって椅子ができるのだから」

部品全部を箱に入れて輸出できる形態(フラットパック)で、世界中に広まったスツール60は、累計で800万脚が売れているベストセラー。いまでもフィンランドで生産されつづけている。
「当たり前のように見えて、いまも同じ会社(アルテック社)でしかつくれない椅子。技術の基盤があり、デザインの特徴がある。究極のデザインとしていちばん好きです」
センプレではビンテージ製品も扱う。50年以上も使い続けられたスツール60が売られていた。

「これはとても価値があります。古くなっても廃棄されず、むしろ値段が上がっていく。ものが出てきた背景を理解することで、くらしの豊かさが全然、違ってくるんですね」
次に話をうかがったのは、ディレクターの神原久康さん。取締役であり、店舗営業部の部長もつとめる。

客層はどんな人が多いのだろう。
「店舗によって特徴がありますが、昔からセンプレは幅広い年齢層のお客様にご利用いただいています。比較的、若い方が多い有楽町店、新宿店では旬な商品をより見えやすく表現することを意識しますね。その他の店舗では、しっかりと商品を伝えることを意識しています」
このように店舗ごとの特徴がある。
「1万アイテムがそろう本店は、住まいへ寄ったものを提案しています。一方、青山店はファッションのまちですから、幅広い品ぞろえよりも新しい提案に重きを置いています」
デザインショップのひしめく東京で、センプレならではの特色はどこにあるのだろう。
「商品の表現の仕方だと思っています。ある商品の世界観プラス、そこにいるスタッフが発する熱量、人によるプラス・アルファで雰囲気を伝えるんです」
その熱量をずっと維持するのは、しんどいときもある。
「しんどいときも、売上の短期的な数字には負けず、コツコツと伝えていく。目標を持って前を向き、伝え続けていくのが大事です」
そんな神原さんの好きな製品は、この椅子。

「これは1927年にデザインされた『サーピルチェア』という製品で、フランスから直輸入しています。元は公共用にデザインされたプロダクトですね」
座面には星のかたちに穴が空いていたりして、ゴツい雰囲気とオシャレな雰囲気が同居している。素材はアルミとスチールの組みあわせだ。
「昔からある形なんですが、後ろ姿だってモダンでしょう。屋内でも屋外でも使えます。古いデザインにも関わらず、いまの部屋やレストランでもかなり需要があってご好評をいただいています」
神原さんも使っていますか?
「ええ。これで毎朝ご飯を食べてますから。見て楽しむデザインもあるんですけれど、家具は使ってなんぼ。自分の身体にあっている、本当にリラックスできるようなデザインです」
神原さんが考える「良いデザイン」って、なんでしょう。
「自然派という意味ではない『ナチュラルなデザイン』でしょうか。あると自然に腰かけてしまうような椅子、あたかもそこにあって当たり前のような存在。普遍性と呼ぶものかもしれないですが、人がくらす場所には、そうした居心地が良く、バランスの取れるデザインが必要じゃないかなと思います」

新しいスタッフは、どんな人に来てほしいですか。
「商品に興味をもつのはもちろん、お客様にも興味をもてる人ですね。お客様はどんな生活をしているか。それを考えると、自然と提案が身についていきます。いろんなことに興味や意欲があって、フラットな接客ができる人がいいです」
面接で重視する点があるという。
「センプレのお店をちゃんと知ってほしいです。面接で『どの店を見たの?』と聞いたとき、自分の住まい近辺の店舗しか見ていないと悲しいです。店舗それぞれの表現が異なりますので、各店舗の構成を見て雰囲気を感じてもらい、自分なりの意見をもって臨んでほしいです。ぜひ面接のときに感想を聞きたいですね」
もうひとり紹介したいのが、青山店スタッフの田野穂奈美さん。

「前職はチェーン店で、オリジナルの家具もありました。でも、誰がつくったかもわからないのに、淡々とものが売れていく感じの売場だったんです。だから『この商品は誰がつくって、ここがスゴいんですよ』って自分で語れるところで働きたかったんです。いろいろな店を巡ってセンプレに来たとき、ここで働きたいなと思いました」
他のお店とは、どこが違ったんだろう。
「スタッフをよく観察していたのですが、みんないい人そうだったんですね。威圧的でなく『東京は冷たい』という感じがしなかった。アットホームというか、お店にも入りやすかったんです」
ふだんの仕事で心がけていることはありますか。
「なにかに特化するというよりは、ライフスタイル全体を提案していけるようになりたいと思います。それからとにかく、店舗や商品をふいたり綺麗にして並べていますね。お客様が入りやすい環境をもっとつくりたいです」
田野さんのお気に入りも、ぜひ紹介してください。

「この『ストリング』は、北欧で1949年から使われている収納です。組みあわせが自由で、つなげたり、間に板を挟んだりして形を変えられます。買えば買うほど、いろいろ組みあわせられる。私も家で使っていますよ」
田野さんにとって「良いデザイン」とは、なんでしょう。
「やっぱりストーリーがあるもの。1時間でも2時間でも語り続けられるぐらい物語のあるデザインです。そうは言っても、まだ私も語れないんですが」
どんな人にスタッフとして来てほしいですか。
「お客様と同じような立場に立って、これがいい、あれがいい、という感じで、たのしく接客できる人です。自分のことのようにお客様のことまで考えられる人が向いていると思います」
最後に、ふたたび社長の田村さん。
「センプレは20年間、一度も業績を下げないでコツコツと売上をつくってきました。正規雇用で若い方がきちっと生活をし、自分の生活を楽しめる仕事の環境をつくっていきたいという思いが採用の基本にあります」
「最初から自分はこの職種だと決められる人もいれば、幅広い仕事に興味をもつ人もいるでしょう。今回、中心となる募集はショップのスタッフですが、同時にセンプレでこれから必要な役割もいろいろありますから、デザインが好きな方には、ぜひ応募していただきたいです」
ネット運営スタッフ、卸事業部スタッフ、デザイン開発部スタッフ、商品企画部スタッフ、本社運営スタッフ。それぞれのスタッフの数だけ、人に伝えたい好きなデザインがある。

そんな人が集まる職場が好きだと、多くの人に伝えたい。センプレで働く人々からは、そんな明るいエネルギーを感じました。
まずは、お店をじっくり訪問して、スタッフのオススメに耳を傾けてください。自分と波長があうと感じた人は、センプレの一員を目指してほしいです。
(2015/8/25 神吉弘邦)
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